Workbook 03経営を考える道具

支援で使う資料の記入例を、架空のサンプルで公開します

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

経営会議の議案書、部長の役割定義、事業計画とKPI、評価すり合わせの4種類の資料サンプル。架空の会社を例に、何をどう書くかを示し、空欄のひな形も印刷用に生成できます。

登録なしで使えます。入力はこの画面内だけで処理し、外部へ送信・保存しません。再読み込みすると消えます。

「経営を支援します」と言われても、何をするのか分かりにくいと思います。ここでは、支援の中で扱う資料の考え方を、記入例で紹介します。見ていただきたいのは、表のきれいさより、これを使って何を話し、何を決めるかです。

すべて公開用に作成した架空のサンプルです。顧客の実際の資料や実績ではありません。

SAMPLE 01

経営会議の議案書

「採用について」だけでは、何を決める会議なのかが分かりません。私は、何を決めてほしいのかを最初に書きます。判断に必要な事実と、提案者の考えも分けます。

項目記入例(架空)
今日決めたいこと来月から、既存案件に契約社員1名を追加するか。
確認できている事実今後3か月の確定案件で、現体制では月80時間分の作業が不足する見込み。見込みの算定担当:制作部長。
まだ確認できていないこと顧客と納期を調整できるか。追加人員の立ち上がりに必要な期間。
選択肢A:追加人員を確保する/B:顧客と納期を調整する/C:既存案件の担当を組み替える。
提案者の推奨と理由まずB・Cの可否を今週確認する。解消しない不足に対してAを実施したい。
決定と条件本日は確認の進め方を決定。採用の最終判断は費用・条件を揃えて次回行う。
担当・期限・確認日制作部長と営業部長が金曜までに確認。翌週月曜の経営会議で判断。

この項目を入れた理由

「確認できている事実」と「まだ分からないこと」を分けています。未確認の前提を確定事項のように扱わないためです。

自社で使うなら

金額だけでなく、契約、顧客への影響、担当者が対応できる時間も確認します。全件に長い資料は要りません。判断に必要な範囲で使ってください。

SAMPLE 02

部長の役割定義書

「部門を管理する」では、社長と部長の期待が揃いません。何を実現し、何を自分で決め、どこで相談するかまで書きます。

項目記入例(架空の制作部長)
期待する成果合意した品質・納期・採算で案件を完了し、次の案件を任せられる担当者を育てる。
自分で決めること承認済みの案件・予算の範囲での担当配置、作業順序、レビュー方法。
事前に相談すること予算超過、契約範囲の変更、顧客との納期変更、他部門の人員利用。
他部門との分担営業が受注条件を確認し、制作が必要工数を見積もる。条件が合わない案件は受注前に協議する。
毎月確認すること案件ごとの着地見込み、手戻りの理由、担当者の負荷、育成する仕事の進捗。
減らす仕事定型案件の細かな進行確認をリーダーへ引き継ぎ、判断基準を共有する。
上司に求める支援部門間の利害が対立した案件の判断、必要な採用・育成予算の決定。

この項目を入れた理由

「減らす仕事」と「上司に求める支援」も入れています。期待する役割を増やすだけでは、本人の仕事は回らなくなるためです。

自社で使うなら

同じ部長でも、事業や組織の大きさで役割は変わります。給与や役職名から決める前に、実際に担う仕事に合わせてください。

SAMPLE 03

事業計画とKPIの対応表

数字が並んでいても、それを見て何を変えるかが決まっていなければ、管理表だけが増えてしまいます。目標、確認する数字、判断する人、次の行動を並べます。

目指すこと確認する数字・事実見る人・頻度変化があったときに考えること
案件の利益を確保する案件ごとの見積工数と着地見込み工数、追加作業の有償・無償の区分案件責任者が週次、部長が月次で確認見積との差の原因を確認。顧客との条件調整、作業方法、配置のどこを変えるか。
重点顧客からの受注を増やす重点顧客への提案数、受注率、受注額。対象期間・顧客の定義を統一営業部長が週次で確認提案の量と内容を分けて確認。受注までの期間も見て、対象や提案を見直す。
部長へ判断を移す社長確認になった案件と、その理由社長・部長が隔週で確認権限、判断基準、情報、経験の何が不足したかを確認。次に任せる範囲を決める。

この項目を入れた理由

指標を置く際には、結果との関係を仮説として持ちます。提案数が増えれば必ず受注が増える、とは限りません。数字と実際の案件を見て、使える指標かを確かめます。

自社で使うなら

表の指標をそのまま採用する必要はありません。自社で継続して集められ、担当者が判断に使えるものを選んでください。

SAMPLE 04

評価のすり合わせシート

評価者の点数が違ったとき、平均を取れば解決するわけではありません。期待していた仕事と、判断に使った事実を確認したいと思います。

項目記入例(架空のプロジェクト責任者)
期初に期待したこと担当案件について、品質・納期を守り、追加要望の影響を判断できる状態にする。
確認した事実重要な追加要望を記録し、必要工数と納期への影響を整理した。顧客との調整が遅れた案件が1件あった。
本人が決められた範囲作業の割り振りとレビュー方法。契約条件の変更は部長決裁。
本人の説明顧客との窓口が営業と分かれ、追加要望への返答が遅れた。次回は確認窓口と回答期限を先に決めたい。
評価者が迷った点調整の遅れのうち、本人の対応と部門間のルールのどちらを改善すべきか。
会議で確認すること相談した時点、返答までの経緯、期待役割に照らして本人ができたこと。
本人へ伝えること評価の理由、評価した仕事、次期に改善する行動、会社側が整える分担。

この項目を入れた理由

結果だけでなく、本人が動かせた範囲も確認します。会社の分担が曖昧だった問題まで、本人の能力だけで説明しないためです。

自社で使うなら

この表は評価点や昇給額を自動で決めるものではありません。自社の等級・評価基準・運用ルールに合わせて使ってください。

YSKGへのご相談

資料を増やすことが目的ではありません。いま使っている資料を見ながら、何を残し、どこを直すかをご一緒に考えます。

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山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

HRR株式会社(現 リクルートマネジメントソリューションズ)で人事コンサルティングに従事し、その後、事業会社で総務・人事部長、執行役員、取締役を経験。2019年にYSKGを設立。設立後は複数企業でCHRO、経営企画部長、コーポレート部長などを兼任し、経営と組織・人事の実務を支援。

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