組織設計・成長ステージ

組織再編後に仕事が止まる原因|役割とKPIと会議と評価を見直す順番

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

組織再編後に仕事が止まるときは、新しい部署名に対して、成果責任、権限、部門間の受け渡しが更新されているかを確認します。組織図が新しくなっても、承認や会議が旧来のままだと、責任の空白や二重の判断が生まれます。

まず、最近止まった案件を一つ選び、どこで誰の判断を待っていたかを確認してください。実際の仕事から見ると、組織図だけでは分からないずれが見つかります。

止まり方によって原因を分ける

止まっている状況 疑うべきずれ 最初の確認
誰も最終判断しない 責任の空白 最終判断者と実行責任者
複数部署の承認待ち 権限の重複 承認が必要な理由と順番
各部門は達成しているのに全社未達 指標の不整合 部門指標と全社成果の関係
旧組織の会議に報告が残る 会議体の未更新 会議の目的、参加者、決裁事項
新しい仕事が評価されない 評価の未更新 新役割に対する評価材料

個人の意欲を原因と決める前に、判断が可能な仕組みになっているかを確認します。

役割から順番に接続する

1 部門の成果責任を一文で書く

業務一覧ではなく、その部門が最終的に何を実現するかを書きます。「営業活動をする」だけでは、どの顧客や成果を担うかが分かりません。必要に応じて対象市場や案件の範囲を明示します。

2 境界をまたぐ仕事の受け渡しを決める

営業から制作、開発から運用、本社から拠点などの境界で、渡す情報、受け取る条件、差し戻し先を決めます。組織再編では、部署内の仕事より、部署間の仕事が抜けやすいためです。

3 成果責任に合うKPIを置く

誰かが集計できるからという理由だけで指標を残さず、部門が行動を変えるために使えるかを確認します。複数部門にまたがる指標には、集計担当と対応を調整する責任者を置きます。

4 会議で決める内容を更新する

報告先、判断者、参加者を見直します。同じ議案を複数の会議で説明する場合は、各会議が何を判断するかを明確にします。判断しない会議への報告が残っていないかも確認します。

5 評価との矛盾を解消する

新しい部門横断の役割を任せながら、自部門の短期成果だけで評価すると、本人は動きにくくなります。新役割をどの期間から、何の証拠で評価するかを整理します。

YSKGのクライアントではどうだったか

あるIT企業では、機能別の組織へ再編した後も、予算管理や会議の運用に旧組織の考え方が残っていました。YSKGは、中期目標からKGI・KPI、役割、会議体を順に整理しました。

指標の候補に実数を入れ、部門が行動を変えられるものに絞ったことも取り組みの一つです。公開事例では、中期計画を会議で継続的に更新する運用へ変えたことが示されています。

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最初の見直しは一案件で試す

役割分担表を完成させる前に、最近の案件を新しい分担へ当てはめてみます。誰が受け取り、判断し、顧客や他部門へ伝えるかを追います。説明が割れる部分を修正してから、対象を広げます。

旧組織のやり方はすべて廃止すべきですか

いいえ。現在も役立つ運用は残せます。新しい成果責任や判断の流れと矛盾する部分を優先して変えます。

組織再編そのものをやり直す必要がありますか

運用の見直しで改善できる場合もあります。役割や権限を整理しても構造的な矛盾が残る場合は、再編の目的や組織構造に戻って検討します。

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山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

リクルートマネジメントソリューションズで人事コンサルティングに従事した後、事業会社で人事部長・執行役員・取締役・CHRO・経営企画部長を歴任。2019年に株式会社YSKGを設立。事業推進と組織人事の両面から、月次の伴走型で成長企業の経営を支援している。

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