人事制度・組織開発

離職率を改善する方法|退職理由の集計より先に見るべき組織の構造

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

離職率改善では、退職理由アンケートだけでなく、部門・上司・在籍期間・職種・評価・負荷・配置のデータを組み合わせ、離職が集中する構造を探します。そのうえでマネジメント、役割、制度、業務負荷へ打ち手を分けます。

離職率を改善したいとき、退職理由の集計だけでは不十分です。退職面談で語られる理由は、給与、上司、キャリア、業務負荷などに分かれますが、その背後に共通する組織構造があることが多いからです。

図解:離職を“構造”で見る

表面に出る退職理由 背後にある可能性が高い構造
給与が低い 役割と報酬の不整合、昇給基準不明
上司が嫌 管理職選抜・育成・評価の問題
成長できない キャリアパス、1on1、配置の不足
忙しすぎる 人員計画、業務フロー、優先順位
会社の方向性が不明 経営コミュニケーション、戦略共有

1. 退職者だけでなく“残っている人”を見る

離職者へのアンケートは重要ですが、退職前の兆候や、同じ不満を抱えながら残っている人を把握する方が予防につながります。

2. 離職を部門・上司・在籍年数・職種で分解する

全社平均だけでは原因が見えません。「入社1年以内」「特定上司の配下」「特定職種」「昇格直後」などの偏りを見ます。

3. “退職理由”ではなく“離職プロセス”を追う

入社→配属→1on1→評価→異動→退職までのどこで期待が崩れたかを確認します。

4. 管理職の行動を可視化する

1on1実施率、評価面談品質、育成目標、残業、メンバーサーベイなどを見ます。マネージャーごとの差が大きければ、制度より管理職支援が優先です。

5. キャリアの選択肢を増やす

専門職・管理職、異動、社内公募など、成長の道筋を複線化します。「辞めないと次の経験が得られない」状態を減らします。

離職分析ダッシュボードの最小項目

指標 見る切り口
年間離職率 全社・部門・職種
1年以内離職率 採用チャネル・上司
管理職別離職率 直属上司
1on1実施率 部門・管理職
昇格後離職 昇格から6/12か月
退職理由 一次理由+根本要因

改善の優先順位

離職率そのものを目標にするより、原因となる管理職・キャリア・業務・処遇の構造を改善し、結果として離職率が下がる設計が持続的です。

YSKGのクライアントではどうだったか

※守秘義務の観点から、業種・規模・数値・時期など、事例の一部を特定できない形に一般化しています。

IT企業で、上司以外の定期面談を置き離職抑制につなげた

YSKGが関わったあるIT企業では、エンジニアの状態把握を直属上司だけに任せず、サポート役の担当者が定期的に面談する仕組みを設けていました。仕事の状況、不満、困っていることを、評価者ではない立場の人が日常的に拾えるようにしたものです。

その結果、このケースでは離職率の低下につながりました。ポイントは「1on1を導入したこと」ではなく、離職兆候を誰が、どの頻度で、どの立場から拾うかを設計したことです。退職面談で理由を集計するより前に、在籍中に本音が出る接点を作ることが重要です。

よくある質問

Q1. このテーマに取り組むとき、最初に何から始めるべきですか?

まず現状を事実で可視化し、「どこで意思決定や実行が止まっているか」を絞ることです。いきなり制度やフォーマットを作るより、ボトルネックを特定してから設計した方が手戻りが減ります。

Q2. どのくらい作り込めば運用を始められますか?

最初から100点を目指す必要はありません。経営インパクトの大きい部分を優先し、60〜70点の状態で試行し、実際の運用データを見ながら更新する方が定着します。

まとめ

このテーマで重要なのは、個人の努力に依存せず、責任・判断基準・指標・会議・評価を一つの仕組みとしてつなぐことです。制度や資料を作るだけではなく、現場で使われ、経営判断が変わるところまで設計して初めて成果につながります。

YSKGへのご相談

離職データ分析、管理職ヒアリング、組織改善ロードマップまで一貫して支援できます。

株式会社YSKGは、経営支援・組織人事・ビジネスコーチングの3領域で、個別テーマだけでなく相互のつながりを見ながら成長企業に伴走しています。

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山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

リクルートマネジメントソリューションズで人事コンサルティングに従事した後、事業会社で人事部長・執行役員・取締役・CHRO・経営企画部長を歴任。2019年に株式会社YSKGを設立。事業推進と組織人事の両面から、月次の伴走型で成長企業の経営を支援している。

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