人事制度・組織開発

管理職の離職が続く会社で最初に確認すべき10項目

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

管理職離職が続く場合、個人事情だけでなく、責任と権限の不一致、プレイング過多、経営との距離、評価、組織変更、部下対応負荷など構造要因を確認する必要があります。

管理職の離職が続くとき、単純に「最近の管理職は大変だから」で片づけるべきではありません。管理職は組織構造のひずみを最も受けやすい層です。経営からの要求と現場からの要求の両方を受け、権限や支援が不足すると消耗します。

図解:最初に確認すべき10項目

# 確認項目 危険信号
1 役割定義 何でも屋になっている
2 権限 判断できず上に聞く
3 人員 慢性的に欠員
4 プレイング比率 70〜80%以上
5 評価 個人売上偏重
6 報酬 責任増に見合わない
7 上司支援 1on1・レビューなし
8 部門間調整 管理職が板挟み
9 キャリア 次の役割が見えない
10 経営コミュニケーション 方針変更が突然降りる

1. 管理職の“仕事量”ではなく“責任と権限の差”を見る

責任だけ大きく権限が小さい状態は、非常にストレスが高くなります。何を決められるかを棚卸しします。

2. プレイヤー比率を測る

管理職が自分の案件で時間を使い切ると、部下育成・改善・採用が後回しになります。職種によりますが、マネジメント対象が増えるほどプレイング比率を下げる必要があります。

3. 管理職になったことで“損”していないかを見る

残業増、責任増、インセンティブ減、給与差小などが重なると、昇格が罰になります。報酬設計の確認が必要です。

4. 経営と管理職の対話経路を作る

管理職が課題を上げても「現場で何とかして」で終わると、孤立します。月次のマネジメントレビューやスキップレベル面談を設けます。

5. 連続離職は“個別問題”から“組織課題”へ切り替える

同じ職位で複数名が辞めた場合、個人事情だけでなく制度・役割・経営スタイルの共通要因を調査します。

30日で行う初動

  1. 過去12〜24か月の管理職退職を一覧化
  2. 退職前6か月の職務・評価・上司・残業・異動を確認
  3. 現職管理職への匿名ヒアリング
  4. 役割・権限・報酬・支援のギャップを特定
  5. 90日以内の緊急施策と中期施策に分ける

YSKGのクライアントではどうだったか

※守秘義務の観点から、業種・規模・数値・時期など、事例の一部を特定できない形に一般化しています。

IT企業で、離職問題を「管理職個人の問題」にしなかった

あるIT企業では離職率の高さに加え、組織再編後も役割・責任・評価・会議の仕組みが新体制に追いつかず、マネージャー層がプレイング業務に偏る状態が課題として整理されていました。YSKGは、離職を個人の適性や採用ミスだけで説明せず、マネジメントの役割と運営構造を診断しました。

具体的には、部門ごとの成果責任、KGI/KPI、会議体、評価制度をつなぎ直し、管理職が「自分で案件をこなす」以外のマネジメントに時間を使える前提を作る方向で支援しました。管理職の離職が続くときは、本人へのケアだけでなく、管理職という役割が成立する構造かを確認する必要があります。

よくある質問

Q1. このテーマに取り組むとき、最初に何から始めるべきですか?

まず現状を事実で可視化し、「どこで意思決定や実行が止まっているか」を絞ることです。いきなり制度やフォーマットを作るより、ボトルネックを特定してから設計した方が手戻りが減ります。

Q2. どのくらい作り込めば運用を始められますか?

最初から100点を目指す必要はありません。経営インパクトの大きい部分を優先し、60〜70点の状態で試行し、実際の運用データを見ながら更新する方が定着します。

まとめ

このテーマで重要なのは、個人の努力に依存せず、責任・判断基準・指標・会議・評価を一つの仕組みとしてつなぐことです。制度や資料を作るだけではなく、現場で使われ、経営判断が変わるところまで設計して初めて成果につながります。

YSKGへのご相談

管理職離職の原因分析から、経営・人事・現場を巻き込んだ改善支援が可能です。

株式会社YSKGは、経営支援・組織人事・ビジネスコーチングの3領域で、個別テーマだけでなく相互のつながりを見ながら成長企業に伴走しています。

お問い合わせ・初回相談はこちら

山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

リクルートマネジメントソリューションズで人事コンサルティングに従事した後、事業会社で人事部長・執行役員・取締役・CHRO・経営企画部長を歴任。2019年に株式会社YSKGを設立。事業推進と組織人事の両面から、月次の伴走型で成長企業の経営を支援している。

プロフィールを見る
関連する支援事例CASE 06|IT企業
エンジニアの離職率が高く、退職理由の集計では原因がつかめなかった会社