管理職・マネジメント

管理職に求める役割をどう定義するか|マネージャー要件の作り方

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

『部長なのだから、もっとマネジメントしてほしい』。そう伝える前に、何をしてほしいのかを具体的にしたいと思います。本人が出す成果、部下に任せる仕事、自分で決める範囲を分けて書くと、期待の違いが見えてきます。

管理職育成がうまくいかない会社では、「管理職に何を期待するか」が曖昧なことが少なくありません。プレイヤーとして優秀だった人を昇格させても、成果の出し方が変わることを会社側が説明できていないのです。

図解:プレイヤーと管理職の成果の違い

観点 プレイヤー 管理職
成果の単位 自分の成果 チームの成果
時間の使い方 自分が実行 優先順位・支援・判断
人材 自分が成長 部下を育てる
問題解決 自分で解く チームで解ける状態を作る
情報 自分に必要 上下・横をつなぐ
評価 個人KPI 部門KPI+組織づくり

管理職要件は5領域で定義する

  1. 業績マネジメント:目標設定、KPI管理、予実差分の改善
  2. ピープルマネジメント:1on1、評価、育成、配置
  3. 業務マネジメント:標準化、品質、リスク、改善
  4. 組織連携:他部門調整、経営方針の翻訳
  5. リーダーシップ:意思決定、変革、責任の引き受け

役割定義は“行動”まで書く

「リーダーシップがある」では評価できません。「重要な論点について期限内に判断する」「部門目標を週次KPIに落とす」「月1回1on1を実施し育成課題を記録する」のように観察可能な行動にします。

階層ごとに期待値を変える

リーダー、マネージャー、部長では責任範囲が違います。同じ項目でも、影響範囲・難易度・自律性を上げていきます。

管理職要件マトリクス例

要件 リーダー マネージャー 部長
目標管理 チームKPIを追う 部門KPIを設計 全社KGIとの接続
育成 OJT 育成計画・1on1 管理職育成
判断 定型判断 例外判断 資源配分
改善 自部署 部門横断 事業構造

役割定義を評価制度につなぐ

定義だけ作っても行動は変わりません。評価項目、研修、昇格要件、会議体に同じ要件を使うことで、会社としての期待が一貫します。

YSKGのクライアントではどうだったか

※守秘義務の観点から、業種・規模・数値・時期など、事例の一部を特定できない形に一般化しています。

技術系企業で、管理職の役割を「評価者」から「育成の運用者」へ拡張

ある技術系企業では、評価面談以外に、部下の成長やキャリアについて定期的に対話する仕組みがほとんどありませんでした。YSKGでは、管理職の役割として、目標を設定するだけでなく、1on1で進捗を確認し、本人の状態を把握し、必要に応じて軌道修正するところまでを明確にしました。

特に重要だったのは、1on1・360度フィードバック・育成目標を別々の施策にしないことです。気づきを目標へ落とし、その実践を上司がフォローするサイクルとして設計しました。管理職要件を抽象的な「部下育成力」で終わらせず、実際に行う行動へ分解した事例です。

よくある質問

Q1. このテーマに取り組むとき、最初に何から始めるべきですか?

社長と管理職が、それぞれ期待する仕事を書いて比べます。業績、育成、部門間調整などを挙げ、いまの業務量で実行できるかも確認します。

Q2. どのくらい作り込めば運用を始められますか?

期待する成果、自分で決めること、相談すること、減らす実務が決まれば、面談や会議で使い始められます。実際に迷った判断をもとに修正してください。

まとめ

役割の説明を読んで、本人が『明日から何を変えるか』を話せるでしょうか。私は、その答えを確かめたいと思います。期待を増やすなら、やめる仕事と会社側の支援も決めます。

YSKGへのご相談

管理職要件の定義から、評価・育成プログラムまで設計できます。

YSKGは、経営支援、組織・人事コンサルティング、経営者・管理職育成を行っています。計画、役割、人事制度を実際の仕事に合わせて見直し、実行と運用まで支援します。

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山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

HRR株式会社(現 リクルートマネジメントソリューションズ)で人事コンサルティングに従事し、その後、事業会社で総務・人事部長、執行役員、取締役を経験。2019年にYSKGを設立。設立後は複数企業でCHRO、経営企画部長、コーポレート部長などを兼任し、経営と組織・人事の実務を支援。

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