管理職・マネジメント

管理職が連続して辞めたとき経営者が最初の30日で確認すること

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

管理職の離職が続くときは、退職理由の集計と並行して、残る人の負荷と意思決定の空白を確認します。人員が減ったまま仕事を配り直すと、新たな負担が集中し、問題が連鎖する可能性があります。

最初の30日は、業務を継続するための手当てと、構造的な要因を調べる作業を分けて進めます。以下は組織運営の行動例であり、離職の原因を一律に診断するものではありません。

最初の一週間は残る仕事を可視化する

確認すること 具体的な作業
重要な判断の空白 顧客、案件、人員に関する決裁の代行者を置く
引き継ぎ 進行中の案件、期限、未決事項、関係者を確認する
負荷の集中 残る管理職の仕事を確認し、止める・減らす仕事を決める
チームへの説明 体制、相談先、当面の優先順位を共有する
経営者の確認 暫定体制をいつまで続け、いつ見直すかを決める

退職者の仕事をすべて一人に渡す前に、今続けなければならない仕事を絞ります。暫定の兼務は、終了や見直しの時点を置かないと恒常化しやすくなります。

二週目は本人たちの経験と仕事の構造を確認する

退職理由は重要な情報ですが、それだけで結論を出さないようにします。残る管理職にも、責任、権限、時間の使い方、相談が止まる場面を確認します。

観点 尋ねる質問
責任と権限 結果を求められる一方で、自分では決められないことは何か
仕事量 管理職の役割と個人の実務は、それぞれどれだけあるか
経営との接点 判断を求めた後、結論や返答はいつ届くか
役割の理解 期待されている成果を自分の言葉で説明できるか
支援 困ったときに誰へ相談し、何が変わったか

面談では、個人の発言を誰にどの粒度で共有するかを先に説明します。匿名を約束しても、少人数の組織では内容から本人が推測される場合があるため、共有する情報を慎重に整理します。

三週目は共通点と個別事情を分ける

離職した全員に同じ原因があるとは限りません。部門、役割変更、業務量、上司との関係、評価などを整理し、共通する問題と個別の事情を分けます。

仮説には反証も探します。例えば「仕事量が原因」と考えた場合、負荷が似ていても継続できている部署で、権限や支援に違いがないかを確認します。少数の面談結果を全社の事実として一般化しないことが重要です。

四週目は変えることと検証日を決める

施策を大量に並べず、確認できた問題に対応するものを選びます。判断が滞るなら相談と決裁の場を整え、兼務が重いなら仕事を減らし、役割が曖昧なら成果責任を明確にします。

検証では、離職者数に加え、未決事項の滞留、兼務の解消状況、管理職の負荷、相談後に対応された割合などを見ます。短期間に退職が出なかったことだけで改善と結論づけないようにします。

YSKGのクライアントではどうだったか

公開しているIT企業の事例では、エンジニアの離職に対し、直属上司以外のサポート担当者が定期的に面談する仕組みを設けました。退職時だけでなく、在籍中に話せる接点を用意した取り組みです。

この事例は管理職の連続離職に対する30日施策の実証ではありません。参考になるのは、問題が起きてから理由を聞くことに加え、在籍中に相談が届く経路を設計した点です。効果の数値や他社での再現性は示していません。

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よくあるご質問

退職理由を経営者が直接聞くべきですか

本人が話しやすい相手と、情報の扱いを考えて決めます。経営者への意見が関係している場合もあるため、人事や外部者を経由する選択肢もあります。

採用を優先すれば解決しますか

欠員補充は必要でも、役割や負荷の問題が残れば新任者にも同じ負担がかかります。採用と同時に、仕事と権限の設計を見直します。

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山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

リクルートマネジメントソリューションズで人事コンサルティングに従事した後、事業会社で人事部長・執行役員・取締役・CHRO・経営企画部長を歴任。2019年に株式会社YSKGを設立。事業推進と組織人事の両面から、月次の伴走型で成長企業の経営を支援している。

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