組織設計・成長ステージ

社長が現場から抜けられない会社をどう変えるか|経営者の仕事を再設計する

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

社長が現場から抜けられないのは、本人の性格だけでなく、権限・管理職・KPI・会議体が社長依存で設計されているからです。社長しかできない仕事と、組織へ移す仕事を分ける必要があります。

社長が現場から抜けられない会社では、社長が働きすぎていること自体より「会社の意思決定と業務が社長に集中する構造」が問題です。

社長が優秀であればあるほど、短期的には自分でやる方が速いため、依存が強まります。しかし一定規模を超えると、社長の24時間が会社の成長上限になります。

図解:社長の仕事を4象限で仕分ける

社長しかできない 他の人でもできる
重要 戦略、資本、幹部人事、重要顧客 権限委譲して管理職へ
重要度低 原則やめる・頻度を下げる 標準化・外注・自動化

1. “社長の仕事”を実測する

2週間、30分単位で仕事内容を記録します。営業、見積、承認、採用、トラブル対応、会議などに分類し、何時間使っているか見ます。

2. ボトルネックを特定する

社長確認がないと止まる業務を洗い出します。特に見積、値引き、採用、顧客対応、最終品質などに集中しがちです。

3. 役割を「任せる」「仕組みにする」「やめる」に分ける

任せるだけでは再び戻ってきます。判断基準、承認条件、テンプレート、KPIを整えます。

4. “社長代理”ではなく責任者をつくる

「社長の代わりに聞いてくる人」ではなく、自分で判断し結果責任を持つ部門長・事業責任者を育てます。

5. 社長の空いた時間を経営に再配分する

空いた時間がまた現場業務に埋まると意味がありません。新規顧客、採用、事業開発、資本政策、幹部育成などに固定枠を置きます。

社長依存度チェック

  • 社長が休むと止まる業務が3つ以上ある
  • 30万円以下の支出でも社長承認が必要
  • 営業案件の詳細を社長が毎週確認している
  • 部門長が決めず「社長に聞きます」が多い
  • 社長の予定の半分以上が定例・個別案件

3つ以上当てはまる場合、個人の時間管理より組織構造の見直しが先です。

YSKGのクライアントではどうだったか

※守秘義務の観点から、業種・規模・数値・時期など、事例の一部を特定できない形に一般化しています。

設備・工事会社で、「社長がやるべき仕事」をボトルネックから逆算

ある設備・工事会社では、社長が営業力を発揮できる一方、見積や案件判断にも時間を取られ、成長に伴って社長の稼働そのものが制約になり始めていました。YSKGでは、社長の仕事を減らすことを目的にせず、「社長にしか出せない価値へ時間を移す」ことを目的にしました。

見積作業の分担・外部化、現場責任者の育成、判断基準の明文化などを進め、社長が営業や重要な経営判断に集中できる状態を将来像として設定しました。社長が現場から抜けるには、後任を一人決めるのではなく、複数の役割と仕組みに仕事を移す必要があります。

よくある質問

Q1. このテーマに取り組むとき、最初に何から始めるべきですか?

まず現状を事実で可視化し、「どこで意思決定や実行が止まっているか」を絞ることです。いきなり制度やフォーマットを作るより、ボトルネックを特定してから設計した方が手戻りが減ります。

Q2. どのくらい作り込めば運用を始められますか?

最初から100点を目指す必要はありません。経営インパクトの大きい部分を優先し、60〜70点の状態で試行し、実際の運用データを見ながら更新する方が定着します。

まとめ

このテーマで重要なのは、個人の努力に依存せず、責任・判断基準・指標・会議・評価を一つの仕組みとしてつなぐことです。制度や資料を作るだけではなく、現場で使われ、経営判断が変わるところまで設計して初めて成果につながります。

YSKGへのご相談

社長の業務棚卸しから、権限委譲・管理職体制の設計まで伴走できます。

株式会社YSKGは、経営支援・組織人事・ビジネスコーチングの3領域で、個別テーマだけでなく相互のつながりを見ながら成長企業に伴走しています。

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山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

リクルートマネジメントソリューションズで人事コンサルティングに従事した後、事業会社で人事部長・執行役員・取締役・CHRO・経営企画部長を歴任。2019年に株式会社YSKGを設立。事業推進と組織人事の両面から、月次の伴走型で成長企業の経営を支援している。

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