人事制度・組織開発

人事制度改定の費用は何で変わるか|設計から移行と運用までの見積もりの見方

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

人事制度改定の費用は、対象人数だけでは決まりません。職種や等級の複雑さ、報酬を変更する範囲、個人別の移行試算、社員説明、導入後の運用支援によって変わります。見積もりでは、設計費に含まれる仕事と、社内に残る仕事を揃えて比較することが重要です。

「評価制度一式」という表記だけでは、評価シートの作成までなのか、報酬への反映や最初の評価会議まで含むのかが分かりません。契約後の追加費用や手戻りを避けるため、工程ごとの確認項目を整理します。

見積もりを六つの工程に分けて読む

工程 主な作業 追加になりやすい確認事項
現状分析 制度・人員・報酬・運用の確認 データ整備やヒアリングの範囲
基本設計 改定方針、等級、評価、報酬の考え方 経営会議への説明、案の比較
詳細設計 役割定義、評価基準、報酬ルール 職種別設計、システム設定との整合
移行設計 新旧制度の比較、個人別試算 試算回数、例外者の取り扱い
導入準備 社員説明、評価者の練習、マニュアル 説明会参加、質問対応、資料修正
運用支援 最初の評価、すり合わせ、見直し 対応期間、会議回数、追加修正

同じ社員数でも、職種が少なく報酬変更を伴わない案件と、多職種で給与レンジや移行措置を見直す案件では、必要な作業が異なります。人数だけを基準に価格の妥当性を判断するのは避けたいところです。

総額は外部費用と社内負担に分けて確認する

外部費用は、初期費用、月額費用、継続月数、追加作業、訪問等の費用を確認します。税込・税別も統一して比較します。

以下は見積もりの読み方を示す架空の比較です。市場相場やYSKGの料金、実際の顧客契約ではありません。どちらも同じ税込・税別条件で比較する前提です。

架空の見積もり 基本の費用 追加の運用支援 比較する合計
A案 設計費180万円 月20万円を3か月 240万円
B案 月40万円を6か月 基本範囲に含む 240万円

A案の設計費だけを見れば安く見えますが、運用支援まで含めると同額です。さらに、個人別試算や評価者研修の範囲が同じかを確認する必要があります。

社内負担としては、人事の資料作成、経営者の判断、現場責任者による役割確認、社員からの質問対応があります。外部費用を抑えても、繁忙な人事部門に作業が集中すれば、予定どおり導入できないことがあります。

費用を抑えるなら作業量を減らす前に範囲を絞る

例えば、等級と報酬が大きく矛盾していないなら、評価基準や評価者間の判断のずれを先に扱う選択肢があります。逆に、役割と給与の関係が崩れているなら、評価シートだけを修正しても根本的な不満は残ります。

削る候補は、すでに使える資料の作り直し、必要以上の職種細分化、使わない評価項目です。一方、実際の社員への適用確認、移行時の影響確認、運用担当の準備は、後から問題が見つかった場合の影響が大きい工程です。

YSKGのクライアントではどうだったか

ある人事制度設計では、新制度への転換に向けて、現行制度の評価運用、昇格要件、役割の変更、配置を別々の論点として整理しました。会議用資料の表現も、評価結果と昇格を混同しないように調整しています。

この事例で確認できるのは、設計の検討と意思決定の準備です。費用削減の結果を示すものではありません。ただ、見積もりの対象となる仕事が、評価項目の作成だけではないことを具体的に理解できます。

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発注前に確認する五つの質問

  1. どの問題を解決するための改定で、対象外は何か。
  2. 誰がどの資料を作成し、経営者はいつ判断するか。
  3. 個人別の移行試算と、その結果を受けた修正は含まれるか。
  4. 社員説明と最初の評価運用を、どこまで支援するか。
  5. 追加作業と期間延長が発生する条件は何か。

この五つに答えられると、金額と支援内容の関係が見えます。契約前に、成果物の名称だけでなく完了条件を確認しましょう。

よくあるご質問

社員数を伝えれば概算は出せますか

初期の目安を相談する材料にはなりますが、対象職種、現行制度、変更範囲、希望時期、社内担当体制も必要です。これらが分かると見積もりの前提が明確になります。

社労士への依頼費用は含まれますか

支援会社や契約によって異なります。規程の整備や労働条件変更に関する確認を誰が担当するか、別途費用が発生するかを確認してください。

月額契約と一括契約はどちらがよいですか

金額の表示方式より、範囲、期間、変更の扱いが重要です。一括でも運用を含む場合があり、月額でも一定期間や作業範囲が定まっている場合があります。

YSKGへのご相談

YSKGでは、現行制度と困りごとを確認し、全体改定が必要か、運用の見直しを先行できるかを含めて支援範囲を検討します。

株式会社YSKGは、経営支援・組織人事・ビジネスコーチングの3領域で、個別テーマだけでなく相互のつながりを見ながら成長企業に伴走しています。

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山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

リクルートマネジメントソリューションズで人事コンサルティングに従事した後、事業会社で人事部長・執行役員・取締役・CHRO・経営企画部長を歴任。2019年に株式会社YSKGを設立。事業推進と組織人事の両面から、月次の伴走型で成長企業の経営を支援している。

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