CASE 07広告代理店ビジネスコーチング

事業計画と役割分担を題材に経営者の意思決定を支える育成事例

執筆:山口 剛志(株式会社YSKG 代表取締役)

ある企業の経営者育成では、実際の事業計画や経営会議を題材に、経営者自身が判断する場を設計しました。YSKGが用意した資料には、説明だけでなく、役割分担や担当・期限をその場で書き込むワークを組み込んでいます。

※支援用資料をもとに、固有名詞、時期、数値、個人に関する情報を省略しています。資料から確認できる支援設計を紹介しており、各施策の実施完了や効果を示すものではありません。

経営者が決めることと材料を整えることを分けました

事業を進めるには、方針を決めることと、判断材料を用意することの両方が必要です。これらが経営者に集中すると、数字の確認や資料の作成に時間を使い、重要な判断が後回しになります。

育成の場では、経営者が管理担当者に何を任せたいかを先に言葉にし、その後で、方針・数値・人事・会議などの領域ごとに分担を置く構成にしました。

領域 経営者が担う役割の例 管理担当者が担う役割の例
事業計画 目指す状態と重点方針を決める 現状との差、必要資源、計画数値を整える
人事制度 制度の目的と重要な方針を説明する 検討材料、日程、関係者との調整を整える
経営会議 議案を判断し、任せる範囲を伝える 議案の取りまとめと決定事項の管理

表は育成資料の考え方を一般化したものです。実際の役職名や権限を示すものではありません。

事業計画を順番に考える構成にしました

計画づくりでは、目指す状態、必要な事業規模、現状との差、資源の手当て、年次の目標、実行計画、リスク、損益計画を順に検討する構成を用意しました。

前提となる方針が決まっていない段階で数値だけを精緻にしても、計画の方向は定まりません。経営者が決める前提と、担当者が調べて整理する項目を分け、次の作業を誰が担うかまで決められるようにしています。

経営会議に持ち込む議案も育成の題材にしました

会議の改善案では、幹部が決めてほしいことを議案として持ち込み、経営者が判断する進め方を提示しました。議案に対して、決定する、追加確認の期限を置く、担当者に任せるなど、返答を明確にする考え方を盛り込んでいます。

本人が議案をつくり、経営者がどう応じるかまで扱うことで、会議を意思決定の練習の場にできます。ただし、ここで確認できるのは導入に向けた設計であり、議案数の増加などの結果は確認していません。

育成と実務を別々にしないための工夫

資料では、説明する部分と、参加者が記入する部分を分けています。知識の説明だけに時間を使わず、現在の仕事の分担、次の行動、確認する日を置く時間を確保するためです。

この事例から参考にできるのは、経営者に必要な知識を説明した後で、本人の会社の判断へ戻す設計です。担当と期限が決まれば、次回は実行結果を題材に振り返ることができます。

育成の成果はどのように確認しますか

任せる仕事ごとに、本人が前提を説明できるか、対応案を出せるか、実行後に修正できるかを確認する方法があります。知識の理解と実務の判断を分けて見ます。

資料を外部が作ると本人が考えなくなりませんか

外部が作るのは、考える順番や必要な論点の叩き台です。事業方針や資源配分などの判断を本人に残し、自分の言葉で説明する時間を設けることが重要です。

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山口 剛志株式会社YSKG 代表取締役

リクルートマネジメントソリューションズで人事コンサルティングに従事した後、事業会社で人事部長・執行役員・取締役・CHRO・経営企画部長を歴任。2019年に株式会社YSKGを設立。事業推進と組織人事の両面から、月次の伴走型で成長企業の経営を支援している。

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